Blackberry社がついにハードウェアから撤退(仮)。だからちょっと勢いでBB社について振り返ってみる。
ついにこの日が来てしまったか。。
Blackberry社がハードウェアの製造のみならず、設計+製造の両方において撤退という報道。
Yahooの「IT/科学」でのTop3つの項目になっていたので、日本国内でもそこそこのニュース性があったのかな。。スマホというカテゴリを創造し、一時は20%以上のシェアをもっていたBlackberry社もいまとなってはシェアは0.X%程度。もはや存在していないに等しい。
独自OSをもち、Blackberry OS7を搭載していた時代がおそらく黄金期(2000年ー2005年)でそれこそキーボード端末こそが未来の形だった。日本では当時ガラケーが強すぎてあまり普及していなかったが、ドコモが細々と法人メインに販売はしており、Blackberryの端末を使っていると「おれ仕事できます」的なオーラが半端なかった。
iPhoneの登場
しかしながら栄枯盛衰とはこのこと。2007年にiPhoneが登場してから一気に雲行きが怪しくなる。
当時MS社CEOのSteve Ballmerですらソフトウェアキーボードなんて使いづらくて普及しない!と豪語していたにも関わらず、結果は御存知の通りで物理キーボードは例外なく駆逐され、それはつまりBlackberry社の端末の凋落を意味し、同時にiOSとAndroidの二巨頭のみがマーケットを牛耳るかっこうとなった。
焦ったBlackberry社は、キーボードベースのOSではなく、フルタッチ対応でモダンなOSである次世代のOSに社運をかける。そう、そのためにQNXというOS会社を2010年に買収までもして。その社運をかけたモダンなOS、その名もBB OS10。しかしながら、当時のBB社(厳密には当時はRIM社)のCEOのTorsten Heinsが何度も発売遅延を発表し、実際発売された2013年の評判は市場を期待させ待たせたにも関わらず、、、すこぶる悪かった。。
むしろすでにiOSとAndroidの二強が確定しているこのレッドオーシャンにおいて、独自OSを搭載して殴り込みをかけること自体が無謀であり、まさにDOA、つまりDead on Arrivalといっても過言ではなかったかもしれない。
OSの出来の悪さはもちろん、同時に発売されたZ10という端末。これもいけていなかった。。フルタッチでキーボード無し。唯一のBB10搭載端末ということで本来であればFlagship機になるべきなのだが、実際のハードウェアのクオリティはとてもFlagship機といえるものでもなく、散々なレビューであり、それはひいては今後のBB10の運命を暗示しているものでもあった。。
BB10端末の発売
シェア再獲得に足掻くBB社。
現にZ10の発売時は大量の在庫を準備し、一気に花開くのを期待していたに違いない。ただ、それがもろ仇となって、2013年には$934M(1000億円相当)の評価損を計上することになったのはNokia/MSと同じような運命。。。
ただ、そんなBB10。Blacberry Hubという機能ですべてのメール、SNS、IM、SMSなどをまとめて管理できるアプリを標準装備し、その出来栄えに心酔するユーザもロイヤルユーザをいくばくかは獲得にはつながった。rakeemもその1人で、Z10の次に発売されたQ10を手に入れ、その利便性にとりこになり、それ以来BB10をサポートしてきた酔狂なマニアの一人である。
BB10も2013の発売当初はいけてないという評判ではあったものの、マイナーアップデートを地道に繰り返し、翌2014年あたりにはかなり使いやすくなってはいた。そんなときに発売されたBB Passportという端末。キーボード搭載はもちろん、正方形の液晶、しかもやたらと幅が広い。BB10ヲタ共は狂喜乱舞し、rakeemも当然買った(しかも色違いを含めて二回もw)。使い勝手は特徴的ではあったものの、実際かなりProductivityの高い製品ではあった。
ただ、やはりとんがり過ぎている商品の性。。
メインストリームになれるわけではなく、一部の熱狂的なユーザの枠を超えることはできなかった。
もはやBB10での起死回生は不可能と火を見るよりも明らかとなってきた、そのとき、、、BB社は次なるステップを踏み出した。
Androidへの方向転換
2015年に発売されたBlackberry Priv。BB社としては初のAndroid搭載端末。物理キーボードも搭載し、当時ははハイエンドのスペックを搭載したこれぞFlagship!という端末。ただし、発売時の値段が10万円近くし、ちょっと高すぎた。さらにはOSの作り込みがあまく、発熱や、ハング、さらには肝心な物理キーボードが反応しない、などの細かいバグが報告され、立ち上がりは決して良くなかった。
結果、売り上げはBB社が期待するほどものがなかったと思われる。
物理キーボードはやっぱり市場に求められていない、そもそも物理キーボードにはそこまで対価を払わない、などの数々の批評を受けたからか、次に発売したのがDTEK50(2016年)。とはいえこの端末は中国のTCLのIdol4という端末と比較してほぼ同じ。つまりただのOEM端末である。もちろん、ソフトウェア的にはBB社ならではのセキュリティや、BB Hubなどを搭載し、差別化は図っている。とはいえハードウェア的にはOEMであり、もはやBB社ならではの端末、という特徴は一切なくなっていた。
今後はさらにDTEK60というDTEK50の上位機(大型化、指紋センサ、USB Type C、などなど)のまたしてもOEMが近々発表されると噂されている。
ただ、いずれにせよ製造はもちろん、「設計」もBB社がやらないということはただのOEM機種であろう。ソフトウェア的にはKernelレベルでのセキュリティを担保したり、BB Hubを搭載していようとも、おそらく昔ほどのワクワク感はもうでないと思う。。
これからのBlackberry
そんなBB社。そもそも会社の業績としてはソフトウェア部門がYoYで3桁で成長しているようで、OS10の礎となっているQNXが車載やIoTなどの裏方で重宝されているようで、かなり伸びているようである。(まあ多少の会計マジックはあるとは思っているので、多少眉唾で見たほうがいいのだろうが。)
だからこそ、赤字部門であるハードウェアを廃止し、出血を止めるのはある意味まともな経営判断なのである。なので、これは誰もが分かっていたステップなのだ。特にここのところの四半期単位でのスマホの販売台数は数十万台であり、もう死に体なのは明白であったわけで。
今後は会社としてはB2B向けのソフトウェア企業として完全にシフトしていくのだろう。一部の地域ではB2Cの端末をOEMとして販売していくのだろうが、それはもはや小遣い稼ぎのビジネスであり、彼らのメインのCFを生み出すのはB2Bのセキュリティであったり、BYODであったり、IoTだったりするのだと思う。
よってもって今後はBlackberryというブランドを目にすることは劇的に少なくなるのだろう。。。
ただ、多くの会社がB2C→B2Bにシフトしてきて成功・生き返った事例がたくさんある。GEだってそうだし、Philips然り、さらには最近ではPanasonicですらそっちの方向性である。
よって、今回の判断は生き残るためには必須であったわけで、今後数年で本当に生き延びるべき企業だったのか、というのが分かるだろう。B2Cという属性から考えるとどうしてもマーケティングコストが莫大になってしまい、ブランドイメージが業績に与えるインパクトが大きくない。その点B2Bであれば、確かなプロダクトやテクノロジーがあれば収益につながりやすい。
Blackberryのテクノロジーがどこまですごいのかは個人的には正直わからないけど、何百もの特許をもっていたり、QNXという礎があるので、今後はこっちの世界で是非頑張ってほしい。天邪鬼な性格なので、基本はUnderdog的な会社が、Giant Killingするのが大好きだしね!
とはいえ、天邪鬼だらこそ、DTEK60がでたら大した端末ではないとわかっていながらも、とりあえず記念に買っておこうかな、、と思っていたりするw。
頑張れBlackberry。そして今までありがとう!
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